2010年9月29日水曜日

インターネット調査は信頼できない?(1)統計調査との違い

「インターネット調査はあてにならない」という声がある。特に、マスコミの世論調査の場合に言われることが多い。本当は統計調査の専門家に解説して欲しいが、「ツイッターについての1万人市場調査」を行ったので、インターネット調査を実務で活用する方の人間として少し経験的なことも含めて触れてみたい。

 統計調査で最も信頼できるのは「全数調査」で、今実施されている「国勢調査」がそれにあたる。要するに全員に調べるわけだから「4人に調査をして、一人がワニを飼っていたら25%の人がワニを飼っていることになる」というような笑い話はなくなる。

 ただ全数調査でも「誤記入」や「勘違い」の可能性はある。国勢調査はこれまで、記入漏れなどのチェックをしていたが、今回(2010年)から、個人情報保護の観点から調査票に封をして回収されるようになった。
 調査における誤記の確率についての研究は目にしたことがない。学校の一クラスに、アンケートを配ったら、一人か二人くらい「そんな質問だったの?」「記憶違いだった」という人が出るかも、という心の準備はしている。

 全数調査ではない「サンプル調査」の場合はワニの例のように、何人に聞いたか?ということがまず最初の問題で、テレビ視聴率の600サンプルの場合、
視聴率20%というのは、16.7%〜23.3%の間のどこかに、95%の確率で収まる、ということになる。ここまでズレが大きければ、「数字」というより「目安」という方が正しいかも知れないが、調査の数字というのはそんなものと最初から思ってみた方がストレスは少ない。

 新聞社が行う政党支持などの世論調査は、電話調査の場合が多い。電話番号を徹底的にランダム・サンプリングすれば対象者の偏りは少ないという考え方から来ている。インターネット調査を選択しないのは、「パソコンを持っていて、どこかのネットリサーチ会社のモニター契約をしている」という偏りを気にしているからだと思う。そこからもインターネット調査はあてにならない、というイメージは来ているのではないだろうか。
 その偏りは本当で、電話調査は確かに精度では勝る。だた電話調査は、質問数が限られる、耳で聞ける長さの質問文と選択肢というマイナス点がある。だから、マーケティング調査のように「結果の数字そのものよりも分析重視」の場合逆に、電話調査を使うことはほとんどない。