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2010年7月5日月曜日

ブランド浸透分析から見えてくること

ブランド浸透度が描ければ、他ブランドと比較してどの部分が強い、弱いかが見えてくるし、自社ブランドの課題のありかも浮かび上がってくる。

ブランド浸透度は「ブランドが知られている」「買われている」「買いたいと思う」(それぞれ、持っている、持ちたいと思うでも可)の大きく3つの視点でとらえている。
ひとりの消費者を思い浮かべれば「過去にどこかで知って、今買っており、今後また買いたいと思う」ということで、『ブランドの過去(蓄積)』『ブランドの現在』『ブランドの未来』と見なすこともできる。

特に「ブランドが知られている」については、純粋想起を加えて「ブランドの強さ」を示しているが、これは第一想起率(最初に思い浮かんだブランド)に替えてもかまわないし、もちろん再認知名率だけでもかまわない。

このグラフではブランドAは、ブランドBに対して優位だけれど将来においては接近もしくは逆転されるおそれがあり、商品満足度や商品の評判について再考しなければならない。

ブランドBはブランドの『過去』と『今』に問題があるが、過去を修正せずに今だけを上げることはできない。
特に『過去』の「ブランドの強さ」が大きく落ち込んででいるのは、消費者の「言われたら知っているが、積極的には思い浮かばない」状況をあらわしていて「顔となる商品があるか」「商品名に問題はないか」「話題性を提供しているか」などの課題があげられる。

今、自分をマーケティングするとかブランド化するという話も聞きますが、すごいなと感心する反面、生きていくだけでも大変なのにこんなにややこしいこと自分に課さなくてもとも思います。

2010年7月2日金曜日

ブランド浸透分析

ブランド力評価は主に企業と商品の2つある。企業ブランドは無形資産として勘定される動きがあって、その企業の知名度はもとより成長力や国際性、売上げと利益などさまざまな評価軸が模索されている。

商品のブランド力のほうは消費者にそのブランドが支持されている度合いによって決まる。突きつめれば「同じ所に並んでいる同じ特長(スペック)の商品ならば、いくらまで高くてもBブランドでなくAブランドを買うか」ということになる。その価格差がブランド力そのものを表している。

しかし現実には同じ商品ということはなかなかないし、ブランドによる価格差は分かったけれど、どうすればいいのかというヒントにはならない。それで「ブランド浸透」という考え方から4つの基本指標を設定した。

1.ブランドが幅広く知られている =助成想起率(○○というブランドを知っているか)
2.代表的なブランドである =純粋想起率(△△のジャンルで思い浮かぶブランド)
3.ブランドに接している=購入率、所有率
4.ブランド・ロイヤルティ=購入意向率、所有意向率
それを表したのが「ブランド浸透グラフ」で以下の見え方になる。




このブランド4指標の設定、浸透グラフの作成については元()東急総合研究所の光岡健二郎氏と元(株)東急エージェンシー、現:東京急行電鉄()の大野晃弘氏のご教示をいただいた。また指標こそ違うものの「浸透」という考え方は、企業ブランド分析で既に見られていた。

20年くらい前のことだしさまざまな仕事で応用しましたので、今では全く関係のない調査会社や広告代理店の案内書、報告書で同様の分析をみかけることがあります。おそらく通用力がある分析なのだろうと思っています。


2010年6月14日月曜日

クラウド時代のSWOT3.0〜生活者へのSWOTアンケート

調査では、回答を寄せる調査対象者のことを「被験者」と呼ぶのが正式で、これは統計調査からきた言葉だろう。消費者実態を調べる目的ならば調べられる人=被験者で良い。でもマーケティング調査ではこの商品をどうしたらいいのか、市場構造についてこう考えるけれど生活者の実感はどうだろう、など被験者を調べるというより調査対象者の考えを教えてもらいたい、仮説を彼らに評価してもらいたいというのが現場感覚だ。

だから「被験者」というよりプランニング・プロセスにおける「協力者」、できたら知恵を借りたい「頭脳提供者」とみる思いが強い。(こちらは困っているから)

SWOTを一般社員に対して行えたように、生活者にSWOTをやってもらうことができる。
その場合社員のように問題認識をもっているわけではない方もいるし、比較的プランニングの初期段階の情報探索の位置づけのことが多いのでTOWS(問題認識から)ではなく、SWOT的に。ユーザーであれば支持理由(S 強み)に相当する質問から入ることが多い。

商品の場合のSWOTアンケート質問例
S  Strength 強み):
1. この商品の好きなところは何でしょうか?




 Weakness 弱み):
Q2. この商品の気になるところは何でしょうか?




 Opportunity 機会):
Q3. あなたがもっとこの商品を買うことがあるとすれば、それはどのような理由から?




T  Threats 脅威):
Q4. 逆にこの商品を買わない、止める場合はどのようなケースが考えられますが?




結論:
Q5. この商品の改良点があれば教えてください。


このような「被験者」発想でない調査は統計調査的な視点からは生まれ難い。
社員と同様、ここでも生活者の「頭脳」を一つのテーマについて借りたわけだ。

「社員SWOT調査」「生活者・消費者SWOT調査」ともに部分的には、同様の質問が投げかけられることもあると思う。しかしSWOTの流れに乗って結論に至るまで考えを聞くという発想はこれまでなかったのではなかろうか? 
SWOT=マネジメントクラスの道具であるアメリカでは生まれにくいし日本でも寡聞にして他社の事例を知らないので、一応世界初ということにしている。
もちろんクラウドから生まれたのではなく、はるか以前からSWOT質問として調査に取り込んでいる。

クラウド時代のSWOT3.0〜社員SWOTアンケート

クラウド・コンピューティングは頭脳がクラウド(雲)のなかにあって、こちらはそれを拝借し楽しむ、ネットワーク・コンピューティングはそれぞれの頭脳が相互に働き合うととらえていいのだろうか。「世界にコンピュータは、5台あれば事足りる」らしいからクラウド・コンピューティングはもっと壮大な世界なのだろうが、取りあえず「頭脳を借りること」と解釈してみよう。

SWOTは厳密にやろうとすればそれほどやさしい分析法でなく、どちらかというと熟達者のものだということは既に触れた。それは、SWOTの枠外の知識や経験から来る見識がからむことと、特に結論(ソリューション)には飛躍的な発想が求められるからだ。

ある企業の事業方向性検討のプロジェクトがあって、SWOTがふさわしいのではということになった。厳密なSWOT分析の難しさに加えて、幹部各者の見解をいれながらとなると難易度はさらに高まる。合宿で行う企業もあるようだ。

そこで自分たちでSWOTをやるのではなく、社員にSWOTアンケートをしてみたらどうか、と提案した。
SWOTMBAの基本ツールの一つでもあるので、ヒエラルキーの強い米企業では一般社員に事業方向性を聞くということは考えられない。SWOTはマネジメントクラスのするもの。
カイゼンが全社運動となったように日本企業の特質かも知れない、実際に店頭に立っている社員がSWOTなどできるわけがないといった懸念も出たが、やってみたところ十分手応えのある回答が返ってきた。

社員アンケート質問は、素直にTOWSで行われた。
T  Threats 脅威):
Q1. 会社のこれから、最も脅威となる時代変化や環境変化は何だと思いますか?


 Opportunity 機会):
Q2. 逆に、会社にとってチャンスと思う時代変化や環境変化は何だと思いますか?


 Weakness 弱み):
Q3. そうしたときの現在の会社の弱みや問題点は何でしょうか?



S  Strength 強み):
Q4. 会社が発揮できる強み、特長は何でしょうか?


結論:
Q5.では会社はどのような方向を目指すべきでしょうか?具体的なアイデアも含めて教えて下さい。


SWOTは一般的に直観に頼ってはならず、あくまでも情報を集めさまざまな角度から分析し、論理的組立てをすべきとされる。だが人間の頭脳というのはあなどれない。おそらく単純な質問に悩みながらも直観で回答していくのだろうが、そのなかに分析、推論、飛躍という本来のSWOTが求めるものは十分に織り込まれている。

プロジェクトは集まったアンケート回答を整理し、再分析する。もちろん集めて結果こうでしたではない。情報を眺めながら再SWOTを行い、社員が気がつかなかった結論(ソリューション)を出す。これが本来のマネジメントの仕事だと思う。

つまり「社員の頭脳」を一つのテーマについて借りたわけで、それをもってクラウド時代のSWOTは言い過ぎだろうが、これからのSWOTのやり方の一つではないかと思っている。
モチベーションを高めることにも役立つし、1,2年に1回こういうアンケートを実施して全社の知恵を借り、企業の方向性見直しをしてみてはどうだろうか。

2010年6月10日木曜日

(2)T→O→W→S 例 〜iPadを買いたいけど

SWOTとTOWSのブログをあげた日に、iPad買いたいけどどうしたらいい?という質問に、SWOTで答えてくれた人がいた。
自分に考えやすい流れで、ここでは W→S→O→T となっている。
検討時は、抽出情報が際限なく広がるSやOから入らなければ、後はその時その時の筋道でいいのかもと学びました。

いずれにしろSWOT順にこだわらないSWOT ANALYSIS、考える筋道のT→O→W→S例として。SWOTに備わる論理構成力も示していただきました。感謝しつつ引用掲示です。

…‥‥

お題:仮説的結論
「iPad買いたいけどどうしたらいいの?」
ソフトバンク3G契約と仮定して

W ( Weakness 弱み
まず、simフリー版が遅くとも来年春までには出そうだということと、(これは割高になる可能性あり)
ソフトバンク3Gの割引適用を受けるために2年間契約が必要(割安ですが)


S ( Strength 強み)
ソフトバンク3G回線は都市生活者なら多分つながり方など問題ありません
値段も、もし3Gでつなぐなら他社のルーターとシムカード購入より安いです
快適でたのしい操作が可能


O ( Opportunity 機会)
(この場合どうなるかな)
Wifi接続でよければアップルストアですし、契約のしばりもないで すが、実際には、携帯無線ルーターを別売しないと楽しくないです
(携帯無線ルーター約2万(この分のみソフトバンクより割高 
+通信費1年間3万円(この部分はSBと同額)


T ( Threats 脅威
バージョンアップしそう(秋から春予想)という噂があります。




結論
ソフトバンク3G回線つき、32Gモデル(16G ではけっこうすぐいっぱいになります)がよろしいかと。

秋から春までまぁまつか、という手もあります。


…‥
by @ayumuotsukiさん

2010年6月9日水曜日

SWOT分析(2) S→W→O→T と T→O→W→S

SWOTでツイッターを検索してみると、今TLに流れている画面には4時間で約20ツイート。この方法が世界中でもっとも知られた分析法であることが分かる。当然それなりの理由があり、それは「自社の強みと弱みを見つめ、社会や市場そして競合などまわりの変化の機会と脅威に照らしつつこれからの事業の方向性を定めていく」というスキのない文脈そのものにあらわれている。

また、例えば3C分析(企業Corporate、競合Competitor、消費者Consumer)に比べればSWOTはしっかりと未来をどう読むかという構造になっている。

SWOT分析はマトリクスであらわされるので、SWOTのどこから埋めていってもいいが、
型どおりSWOTの順番にされる方が多いのではないだろうか。
強みや機会の方が考えやすく、それこそポジティブな気持になれる。

しかし実際のSWOT分析の必要な場面は、何か困り事があり打開や解決アイデアを求めて行われることが多い。我が社もTwitterマーケティングを考えよう、などと言うとき、はSWOTの出番はあまりないように思う。
つまり、弱みや脅威がある程度露呈していてなかなか反射神経的な対処では解決できない、じゃあ腰を据えてSWOTをやってみようという気になる。

そのときの順番はT→O→W→Sがより自然だ。
外の脅威を打ち消す機会は見つからないか、弱みは何か、それを克服する強みはないのかと悩みの筋道に沿っている。

SWOTは挙げやすいが、例えば強みと弱みの関係の希薄なところが気になる。
T→O→W→Sは挙げにくいが、解決策発見の筋道が見つかりやすい。
最初は軽くSWOTで関係ありそうな項目を挙げるだけ挙げて、T→O→W→Sの順番で精査していくというのが良いのかも知れない。
(強みをより強化する機会、強みが発揮できる機会などの組み合わせ分析がTOWS分析と名付けられていて考え方は似たところにある。)

SWOTの難しさのもう一つは、求められた解に対して自己検証が難しいこと。
検証筋道はややT→O→W→Sの方が向いてはいるものの、それとて各要素の不足感につねにさらされる。

発表を受ける役員や上司は、前向きの報告を喜ぶ人もいるのでSWOTに戻して報告する方がいいだろう。仮に課題を重視する役員がいても、そういう方は課題認識についてはめっぽううるさいので、T→O→W→Sでは最初の“T”から、一歩も前に進まないという怖い事態も予測される。

2010年5月18日火曜日

(1)SWOT分析が困った分析法のわけ〜つづき


ここでいう「熟達者」は具体的に2人の人を思い浮かべていて、1人はキャリア30年以上の男性もうひとりはキャリア20年の女性。それぞれ事業戦略、商品戦略をSWOTで見事に描き出した。ちなみに彼女は数ヶ月SWOTと格闘して2度とやらないと明言している。
私はといえば「あれは私には難しすぎて」と正直に言うことにしている。

一番つらかったのは「SWOT分析はやったんですか?」と結果報告会のときに質問された時。
万事窮す。
それほど器用ではないから「やっていません。もう一度最初からやり直しましょうか?」と口に出した後、一瞬互いに引っ込みがつかない雰囲気に気づいて「SWOTそれぞれの要素は、当然ながら自然とチェックして結論が出ていると思います。」などと実は汗ばみながら付け加えた。

どんな報告にも「SWOTやったんですか?」と言えば、たいてい相手は困ってしまう。誰にも教えたくない禁じ手のような質問。
さらに「SWOTきちんとやったんですか?」と問えばテーブルひっくり返せるご破算質問。
困った分析法でしょ。

そんな経験があったからか、冒頭の人事の書類選考を手伝った時、SWOT ANALYSISを2回以上書いてある業歴書は非採用の方に私は積んで置いた。


SWOT分析(1)SWOT分析が困った分析法なわけ







外資系広告代理店の社員採用審査を頼まれたことがある。
海外からの応募してきた履歴書と業歴書に目を通す1次審査なのだが、特に業歴書の方は、ありったけの業歴をあげて来るものだから、30代後半から40代のチーフクラスの人材だなと思った人が履歴書に照らすとまだ20代そこそこで驚いたこともあった。

彼らの最も共通の業歴はSWOT ANALYSISで、学校や企業で実践し身につけたと書いてあった。SWOT分析は、事業戦略を導き出す基本ツールだし、グループワークに適しているので結果として経験者が多くなるのだろう。

SWOT分析は自社の強みstrength、弱みweakness、外部環境における機会opportunity、脅威threatsの4フレームを照らし合わせ今後の事業方向性を得ていく。プロジェクトの起動のタイミングや内と外の環境を見直してみようというタイミングには有効なツールだ。

しかしSWOT分析は答えを見つけやすい科学的な分析法かというとそうでもない。
SWOTそれぞれに5項目あげられたとすると、単純に数えて機会・脅威と強みの掛け合わせ50、機会・脅威と弱みの組み合わせ50、計100通りの戦略方向性が考えられる。さらに、強みをどのように活かすか、弱みをどのように克服するかと広げていけば際限なく選択肢が増殖してしまう。SWOTを演算や組み合わせ処理のように扱うとどんどん複雑化してしまう構造をもっている。

課題の整理や共有の道具ではなく、成果を得るためのSWOTはけっこう難しい。
まず、SWOTの目的である「事業方向性についての仮説」をSWOTの4つとセットにして5つのフレームワークととらえる。
4つのフレームから仮説に落とす一方通行でなく「仮説」から見た折り返し、逆にSWOTの見落としや発見をする。
何度も5つのフレームを折り返す。そのうちに仮説は磨かれ、4つのフレームも洗練されてくる。
ちなみに、仮説立てには生活者トレンド、戦略論などSWOT枠外の経験や知識、直観力、さらには仮説をSWOTに戻して検証する自己批判力が問われる。

こうしてみると、SWOTは分析の道具というより発想の道具、入門者というより熟達者の道具なのだが、熟達者のほうはSWOTをあまりやりたがらない。クライアントもしくは上司から各フレームの細部にこだわられてもいやだし、熟達者は何より発想の道具を固定されることを嫌う。脳は同じ事を繰り返すと飽きてきて、創造の源泉である好奇心が薄まってしまうことを身をもって知っているからだろう。