2010年6月14日月曜日

クラウド時代のSWOT3.0〜社員SWOTアンケート

クラウド・コンピューティングは頭脳がクラウド(雲)のなかにあって、こちらはそれを拝借し楽しむ、ネットワーク・コンピューティングはそれぞれの頭脳が相互に働き合うととらえていいのだろうか。「世界にコンピュータは、5台あれば事足りる」らしいからクラウド・コンピューティングはもっと壮大な世界なのだろうが、取りあえず「頭脳を借りること」と解釈してみよう。

SWOTは厳密にやろうとすればそれほどやさしい分析法でなく、どちらかというと熟達者のものだということは既に触れた。それは、SWOTの枠外の知識や経験から来る見識がからむことと、特に結論(ソリューション)には飛躍的な発想が求められるからだ。

ある企業の事業方向性検討のプロジェクトがあって、SWOTがふさわしいのではということになった。厳密なSWOT分析の難しさに加えて、幹部各者の見解をいれながらとなると難易度はさらに高まる。合宿で行う企業もあるようだ。

そこで自分たちでSWOTをやるのではなく、社員にSWOTアンケートをしてみたらどうか、と提案した。
SWOTMBAの基本ツールの一つでもあるので、ヒエラルキーの強い米企業では一般社員に事業方向性を聞くということは考えられない。SWOTはマネジメントクラスのするもの。
カイゼンが全社運動となったように日本企業の特質かも知れない、実際に店頭に立っている社員がSWOTなどできるわけがないといった懸念も出たが、やってみたところ十分手応えのある回答が返ってきた。

社員アンケート質問は、素直にTOWSで行われた。
T  Threats 脅威):
Q1. 会社のこれから、最も脅威となる時代変化や環境変化は何だと思いますか?


 Opportunity 機会):
Q2. 逆に、会社にとってチャンスと思う時代変化や環境変化は何だと思いますか?


 Weakness 弱み):
Q3. そうしたときの現在の会社の弱みや問題点は何でしょうか?



S  Strength 強み):
Q4. 会社が発揮できる強み、特長は何でしょうか?


結論:
Q5.では会社はどのような方向を目指すべきでしょうか?具体的なアイデアも含めて教えて下さい。


SWOTは一般的に直観に頼ってはならず、あくまでも情報を集めさまざまな角度から分析し、論理的組立てをすべきとされる。だが人間の頭脳というのはあなどれない。おそらく単純な質問に悩みながらも直観で回答していくのだろうが、そのなかに分析、推論、飛躍という本来のSWOTが求めるものは十分に織り込まれている。

プロジェクトは集まったアンケート回答を整理し、再分析する。もちろん集めて結果こうでしたではない。情報を眺めながら再SWOTを行い、社員が気がつかなかった結論(ソリューション)を出す。これが本来のマネジメントの仕事だと思う。

つまり「社員の頭脳」を一つのテーマについて借りたわけで、それをもってクラウド時代のSWOTは言い過ぎだろうが、これからのSWOTのやり方の一つではないかと思っている。
モチベーションを高めることにも役立つし、1,2年に1回こういうアンケートを実施して全社の知恵を借り、企業の方向性見直しをしてみてはどうだろうか。